第5日目 2月19日 その1
5:30 標高約590m、山の夜が明け始めました。同室のHGさんは既に朝撮を終えて部屋に戻ってこられました。私も今日の支度をしてから三脚を持って外に出ました。昨夜は真っ暗で見えませんでしたが向こうに白い煙が上がっています。
【 Sarganska Osmica ( シャルガンスカ・オスミツァ)】
この鉄道は、第一次世界大戦の終わった後の1921年にベオグラードとサラエボ間の444キロを結ぶために、ボスニアンゲージと呼ばれている760㎜のナローゲージで建設が始まりました。
険しいSargan山を越える山岳鉄道とあって建設は難航しましたが、4年の歳月をかけて1925年2月2日に山岳区間を開業(全線開業は、1928年10月30日)しましたが、道路アクセスが進んだ1974年に廃止されました。
しかし、観光開発に熱心なボスニア政府の意向で、風光明媚なモクラ・ゴラ(Mokura gora)~シャルガン・ビタシ(Sargan-Vitasi)の15.4キロが、1999年に保存鉄道として復活しました。2010年8月にはモクラ・ゴラ~ヴッシェグラード(Visegrad)も復活して、総延長は26.7Mile(約43キロ)となりました。復活にあたって、トンネル・橋梁は整備されて軌道は新たに敷設されています。運営はセルビア国鉄と本格的なものです。
「シャルガンスカ・オスミツア」は、セルビア語で「シャルガン山の8」という意味だそうで、山岳区間の路線は、8の字にループする雄大な絶景を見る事ができます。運行は定期的に行われ、土日には動態復元された2両の蒸気機関車のいずれかが牽引しているようです。今日と明日は、我々が特別に蒸気機関車をチャーターしてフォトランを行います。
6:07 機関士も来られて準備が始まったようです。
投炭されると白い煙がより高く立ちあがって行きました。
空には、まだおぼろ月がぼんやりと見えています。
今日は晴れて欲しいですね。
▲ 6:30 ここでは早めの朝食が用意されていました。バイキングではなくお皿に入れて運ばれてきます。バター・チーズや各種ジャム類が多いのが東欧の特色です。
▲ 今日は、モクラ・ゴラ(Mokura gora)から国境を越えてボスニア・ヘルツエゴビナのヴィシェグラード(Visegrad)への往復です。
この区間は、2010年に延伸された約27.6キロの路線です。
7:03 朝食後の蒸気機関車の様子ですが、念入りな点検と給水が行われていました。
▲ 7:08 日の出前の空には朝焼けが始まりました。ヒンヤリとした中、白い蒸気が空高く上がって行きます。
給水は続いていますが、ホースです。立派な給水機があるのですが、もう機能しないようです。
用意された客車は、食堂車とコンパーメント車の2両です。日本人組は2両目のオープンコンパーメント車後部に乗車しました。
7:33 準備が出来たようでようやく発車しました。
7:58 すぐに昨夜両替をしたボスニア・ヘルツエゴビナのイミグレを通過して山を下ります。国境を越える出国審査は行われません。
▲ 眼下には国境の街、モクラ・ゴラの街並みが見えます。農家の煙突からの朝の煙が谷間に漂って、幻想的な光景を見せてくれています。
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▲ 8:00 セルビア側の最後の№53トンネルを出ると幅1mほどの簡単なホームがある停留所で最初の停車をしました。GPS情報では丁度ボスニア・ヘルツエゴビナへの国境直前です。
国境を越える前の蒸気機関車の最後の点検も行われました。
№53トンネルの上には、新しい兵士の像が設置されていました。
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▲ 8:08 再び発車、車内では食堂車から注文した飲料のお届けが来ました。
列車は順調に坂を下って行き、9:30にはヴィシェグラードに到着しました。
標高は320m、約270mは降りた勘定です。
▲9:31 早速、機回しの準備ですが、その前に給水です。
このボンネット型のタンク車も結構、年代物ですね。
▲ 復元された83-052号機は、ドイツのユング(Yung)で1923年に製造されました。
▲ ヴィシェグラードの全景です。かつてはここからサラエボに向かってレールが延びていましたが今は撤去されて舗装された道路となっています。
今日の運行は珍しかったのか地元TV局からの取材がありました。今夜のニュースにでも放映されるのでしょうか?
▲ 10:05 発車準備が出来たようです。朝はかなり冷え込んでいたので煙も上がったのですが、今日は良い天気過ぎて、ドンドン温度が上がってきました。爆煙の期待は難しくなってきましたが、頑張ります。 Part9へ続く