2009年 秋の中国鉄路一人旅 Part2 瀋陽へT186

『慶祝 新中国誕生60周年』
今日は、10月1日、中華人民共和国の国慶節です。特に今年は、建国60周年を迎えると言うことで、連日これでもかと、祝日に備えての準備等の様子を、TV放映していました。ホテル、商店、食堂は勿論、街路灯にも赤い国旗が、掲げられています。パトカーも多く、街中、公安官だらけで、警備も厳重です。日本人の私には、関係ないわと思っていたら、後日えらい目に会いました。

第2~4日目 9月18日~20日

深圳20:18発、瀋陽行きのT186列車発車まで、十分な時間があります。今後の予定は、切符が買えてからで良いと思っていたので、瀋陽のホテルをインターネット予約したりで、疲れない程度に街をウロウロしました。
乗車前の1時間前までに駅に行けば良いと、夕食を裏町で食べて、ゆっくりとしていたら、タクシーが拾えません。そうだ、深圳の夕方からは、道路が渋滞するので、空車が拾えないのを、すっかり忘れていました。ドジの始まりでした。重いスーツケースを持って、遠い地鉄駅まで向かいました。

それでも、地鉄に乗ってしまえば、わずか1駅3分です。発車40分前には待合室に入れました。夜行列車は、大体30分前に改札が始まります。まだ、家族連れは少なく、学生らしい若者が多数です。にぎわう様子を撮っていたら、早速、公安官の撮影禁止の声が聞こえました。


今まで乗車した夜行寝台列車の列車乗務員は、殆ど女性でした。今日は、なぜか。全員男性です。これも、国慶節のためなのか? 無座の客は、乗車後は、早速に餐車で、座席確保です。

列車編成は、25K系18両。先頭は、18号車で、郵政車、17~14号車4両は、YZ(硬座車)、13号車CA(餐車)、12号車RW(軟臥車)、11~2号車は、YW(硬臥車)、1号車KD(空調発電車)。2号車は、客扱いなしの列車乗務員休憩用でした。


寝台列車に乗車すると、乗務員が、中国人には身分証、外国人には、パスポートの確認をして、右上の換票証を渡してくれます。下車駅が近づくと、起こしてくれます。

今回は、初めての車中2泊の旅です。さて、同室者は、どんな人かと、楽しみにしていましたら、がっちりした体格の若者が、乗ってきただけで、定刻に発車しました。若者と話を始めると、彼は、瀋陽人で地元の大学で学んでいる。深圳には、旅行で来た帰りですと、言います。お酒を勧めると断り、大きな紙袋から、手羽の燻製と、ビールを取り出し、逆に勧められました。見ると、ビ-ルは、10本も入っています。

内陸、東北部の学生には珍しく、水泳をやっていると言います。がっちりしている訳です。瀋陽の事を質問して、情報収集み努めましたが、SLの事は、知っていませんでした。まあ、中国人の鉄道ファンは、日本のようにたくさんいませんので、仕方ありません。

お互いに話疲れて、寝ようとしていたら、ようやく途中停車駅で、お母さんと娘さんが乗車してきましたが、深夜でしたので、挨拶も、話もなしで、早朝、夜が明けない頃に降りていきました。

T186列車は、香港返還時に建設された、香港と北京を結ぶ京九線を、北へと走行します。江西省の省都、人口400万人の南昌市手前で、夜明けを迎えました。南昌は、深圳から、約10時間20分、923kmです。南昌駅で、多くの乗客が降りていきました。


南昌を過ぎると、車内販売が、よく来ます。試しに、お粥と蒸しパン、ゆで卵、茹で野菜便當を買いました。後から、麺も運んできましたので、これもゲットしました。中国の夜行寝台列車で、車内販売されている便當は、ぶっかけ中華丼が多いので、ちょっとびっくりです。餐車の夕食が、期待できます。

 


車窓を見ると、平行して、高速列車専用線(中国版新幹線)の建設中です。中国鐡路では、現在、上海~北間1300kmを、運転速度350km/h、5時間で結ぶ新幹線の他、広州、香港、上海、杭州、天津、大連、ハルピン等々を中心に、急ピッチでの建設が進行中です。それも、殆どが、2~4年後の完成予定ですので、驚くばかりです。総延長距離と、走行スピードで、あっという間に、日本を抜くのは、時間の問題になっています。

雨模様が続きましたが、一日中、車窓を見ていても飽きません。昼寝もせずに、見入りました。同室の若者は、ず~と、上の寝台で、これでもかと寝ています。寝るのも体力です。感心しました。

17時になりましたので、早め餐車に行きました。営業は、17:30からです。テーブルの上には、珍しくメニューが、のっています。これは、期待通り美味しそうです。いろいろと、迷ってましたが、選んで注文すると、『没有(メイヨ-=無い)』です。
では、こちらはと、メニュ-を指差して聞くと、『全部没有』と、返事が返ってきました。そして、前回と同様に、手書きのメニュ-を差し出しました。
テ-ブル上のメニュ-は、単なる飾り物だったのです。皆さん、信じられますか? でも、これが、本当の中国なのです。

食べていると、鉄道公安官が、前に座って、話かけてきます。SLの写真を撮影に、調兵山に行くのだと言うと、もう走っていないと、ショッキングなことを、言ってくれます。

前回、調兵山に行ったのは、昨年の1月です。1年と8ケ月が経過しています。行く前に、どこへ行こうかと迷ってばかりで、走行しているのかどうかを、確認することを忘れていました。市内に、鉄道博物館が出来ているので、そこへ行った方が良いと、勧めます。地図をひろげると、ここにあると教えてくれました。えらいことになったと、がっくりしましたが、撫順のジテもある。本渓市の凸型電機もある。阜新鉱山のSLもある。時間だけは、たっぷりとあるので、何とでもできると、考えました。

しかし、餐車を出る時に、調理人がこっそりと、『彼の言っていることは間違いだ。大丈夫まだ走っている』と、言ってくれました。しかし、行こうと思っていた、瀋陽鉄道博物館の場所が正確に分ったので、収穫もありました。
また夜を迎え、起きてきた若者とビ-ルを飲みながら、中国語の勉強をしていると、乗務員が、新しい2名の中年客を連れてきました。どうやら、切符の車内販売をしたようです。

途中、徐行区間が多く、瀋陽には、1時間43分遅れの、8:25に到着しました。切符は、瀋陽北まで買っておきましたが、後から予約したホテルは、瀋陽駅(地元では、瀋陽南駅と呼ぶ)の近くでしたので、1つ手前の瀋陽駅下車しました。
深圳~瀋陽間、3094km、36時間7分。私には、今までで、1列車としては、最長乗車距離、時間の夜行寝台列車の旅でした


そして、瀋陽到着寸前に、ふと車窓を見ると、見慣れぬ2両の客車がいました。あわてて、カメラを向けて写しましたが、車体側面に大きく『莫斯科(モスクワ)~平壌』と、中国語で書かれていました。これは、珍車だと気づき、下車後、後方に走りましたが、DLに牽引された2両編成のPCは、走り去っていきました。中国鐡路時刻表の7月最新版を確認しましたが、そんな列車は、掲載ありません。いったい、どういった列車だったのか? 疑問だけが残りました。  Part3 へ続く

2009年 秋の中国鉄路一人旅 Part2 瀋陽へT186」への5件のフィードバック

  1.  中国語を操って大したもんですね。羨ましき限りです。調兵山の駅に旅行会社があり、そこが蒸気機関車上遊型の運転、撮影や機関車陳列館見学等を行っていたと思います。
     小生の昨秋の訪問時の案内人は立命館へ留学したかわいい女学生で、撮影の案内人は蒸気機関車の運転士でした。小生はそこでただで運転させてもらいましたが、正式には2kmくらいの往復運転で1万5千円くらいとっていたような気がします。
     2両の客車はロシアのボストーク号だと思います。平壌~モスクワ2両+平壌~北京2両の国際列車が、北朝鮮内は食堂車を含め北朝鮮の客車が数両連結され、鴨緑江を挟んで中国側は中国の客車が10両以上連結されていました。瀋陽で切り離しをするのでしょう。新義州で2時間半停車、鴨緑江渡河5分、丹東で2時間半停車しました。電化区間の北朝鮮と未電化の中国でしたが、列車のスピードは雲泥の差がありました。
     ところで、以前と同じ質問ですが、中国は今でも基本的に鉄道は撮影禁止ではないのでしょうか。多分、関係者に断れば駄目だと云われるでしょうが、大連の市電は自由に撮りました。また、現在、日本人を含む外国人は乗車券を自由に買えるのでしょうか。中国通でないと鉄道通だけでは簡単にはいかないでしょう。
     それにしても中国の発展はすごいですね。満鉄線はついこの間まで前進型、人民型、解放型が見られたのが今では東風4型も追い出して大連~ハルビンが電化されていたのには驚きました。深圳~瀋陽3100km、36時間の旅、これも大したもんだと思います。おつかれさまでした。

  2. モスクワ~平壌ということで「ロシアのボストーク号だと思います」とコメントしましたが、小生の訪問は、あのアメリカのテロの3ヵ月後です。もうかれこれ8年前のことですので、事情が変わっているかもしれないと思い、どなたか最新情報を期待したいと思います。まず、2両の客車の色が当時は紺と赤でした。また、当時の中国の時刻表では瀋陽はモスクワ行きは深夜3時、平壌行きは23時頃となっており、朝の8時過ぎではないようです。ただ、列車の遅延がどの程度日常茶飯事にあるのかわかりませんが、国境駅両端で各々2時間以上停車したり、我々の乗車した列車もかなり遅れていました。当時の時刻表を見ますとこのほかに北京~モスクワ(ウランバートル行き併結大同経由)、北京~モスクワ(瀋陽、満州里経由)、北京~ウランバートル(大同経由)、北京~ハノイ、呼和浩特~ウランバートル、ハルビン~ウラジオストック等々が毎日ではないが運行されていました。

  3. コメントありがとうございます。
    いつもように、投稿原稿作成に必死で、返信が遅れました。申し訳ございません。
    まずは、問題の2両の客車ですが、「ロシアのボストーク号」とすれば、北京発でないと、おかしいと思ってしまいます。なぜに、この2両だけ、瀋陽にいるのかが不思議でなりません。疑問と思った後に、後日に確かめに行けば、よかったのですが、駅ホームには、昼間は、発車15分前でないと、入場できません。普通の日であれば、何とかして入場する事もできたかもしれませんが、不可能な時期でした。また、近々に確かめに行きますので、ご報告申し上げます。
    中国鐡路の撮影ですが、基本的には、軍事用ということで、禁止されていますが、北京や上海等の発展都市では、うるさく言われません。
    ただ、地方の都市では、見つかれば、パスポート等の検閲を受けます。しかし、鉄道公安官も、面倒にはかかわりたくないので、見過ごすか、注意程度で終わります。刺激しないことが必要です。
    切符の購入ですが、外国人であろうが、問題なくできます。旅行社に依頼すれば、手間をかけずに、手数料だけ支払えばできますが、私は、いつも、構内と一緒で、「思い立ったら、さあ行こう』ですので、駅で並んで、自分で買うようにしています」。
    決して難しい事ではなく、行先をメモ用紙に、何月何日、列車名、座席の種類を書いて、見せます。これで、十分です。
    誤解されているようですが、私の中国語は、初心者級で、全く堪能ではありません。対話は、度胸だと思っています。要するに相手に伝えたい内容は、会話だけではなく、ボディアクションでもできます。アメリカやフランスに行っても、これで意志を伝えられました。
    むしろ、その方が、相手に良く伝わります。
    特に中国や台湾は、訪問しやすい漢字国家です。やってみようの気持ちさえあれば、言葉に国境はありません。
    もし、お時間があれば、ご一緒に行ってみませんか? 老い先短くなった人生です。ここらで、冒険しても、喜んでくれる人は多くてもも、悲しむ人はわずかです。自分がやりたいことができるのも、わずか時間しか残っていません。
    人に世話されず、自由に鉄道旅行ができる間に、思いっきりと、会社務めで何かと制限された悔しさを発散するためにも、いつ死んでも、悔いがないように、やってみませんか!
    もし、一人で行かれるのが不安であれば、いつでも声をかけて下さい。
    国内でも、鉄道写真撮影用に、天井からテントが出る、オートフリートップの車を購入しました。10日には納車されますので、紅葉と鉄道を求めて、発車します。
    企業戦士でかなわなかった夢の実現に向かいます。

  4.  Wikipediaによりますとヴォストーク(東方)号は北京・平壌~瀋陽~満州里~チタ~モスクワとあります。また、小生が8年前に撮影した行き先サボには赤字でBOCTOKとあり、その下には青字でMOCKBA-nxEHbRHとありRはローマ字と異なり反対向きのロシア文字のRです。ロシア語の辞書でも調べましたが、よくわからず、ロシア大使館に問い合わせました。結局、nXEHbRHだけがよくわからず、平壌と言うことならこの行き先サボはモスクワ~平壌と言うことになります。何れにしましても時刻表がないので推察で申し訳ありませんが、モスクワ発の列車は瀋陽で北京行きと平壌行きを切り離し、平壌発と北京発は瀋陽で連結してモスクワに向かっているのではないかと思われます。そのため、連結又は解結作業の姿を撮られたのでないかと思います。
     「人生先が短いので旅を楽しむ」のくだりは同感です。ただ、outgoingなぶんしゅう氏とことなり、shyで人見知りの小生、あの喧騒と怒号の駅で乗車券を買う勇気がありません。

  5. ヴォストーク(東方)号が、北京発だけではなく、平壌発もあるとは、知りませんでした。ご連絡をいただきまして、ありがとうございます。

    最新版の中国鉄路時刻表をみますと、北京を23:00に発車したK19列車は、瀋陽に8:35に到着、8:55にモスクワに向けて発車します。この2両を撮影した時間は、8:25です。瀋陽駅の構内で、K19列車への連結準備のために、入換をしていたと考えれば、時間は、ぴたりと合います。

    そして、この2両は、多分、北京~平壌の国際列車K28に連結されていたと、思われます。K28は、平壌を10:10に発車して、瀋陽に22:00着、22:24に、北京へ向けて発車します。

    と、すれば、瀋陽駅のホームで、1晩とまって、翌朝のK19を待つのでしょうね。
    逆に、モスクワからの復路のK20は、19:18に瀋陽着です。北京からのK27は、やはり翌朝の3:25瀋陽着、3:40に平壌に向け発車します。

    往路、復路とも、瀋陽駅で十分な時間を取っているのは、延着した場合を考慮しての、待機時間なのでしょうね。次回、瀋陽に行った時に、きちんとした撮影をしてきます。
    平壌を出発する時は、北京行きと、モスクワ行きを連結しているのですね。

    この他、中国鉄路の国際列車は、北京から、ウランバートルを圣由してモスクワに向かう列車や、ハノイ、ウランバートル間に毎日各1本があります。内モンゴルの呼和浩特(フフホト)~ウランバートル間、ハルピン~ウラジオストックとハバロフスク間に各1本があります。
    来年夏にでも北京発で、乗ってみたいと思ってきました。

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