2014年 絶景の台湾鉄路 夏の旅 Part7 台東線 台東旧駅(臺東旧站)、台東鉄道芸術村、DR2050型

17▲ 15:45 見上げれば青い空ですが、台風10号が台湾を直撃するように向かってきています。時折強風が吹く中を民宿で借りた自転車に乗って約1時間をこぎ続けました。
ようやくたどりついた「臺東鐡道藝術村」には役目を終えたDR2050型3両が静かに休んでいました。   

DR2050型は、1961年に当時ナローゲージだった台東線に登場した「柴特快」(1968年光華號に改称)の付随車LTPB1900型を狭軌ゲージに改造した車両です。光華號は、花蓮~台東170.7キロを最高速度70km/hで疾走し、762㎜ゲージとしては最高記録の3時間10分で結びました。

第5日目 7月21日 その2

高雄 9:35(自強371)⇒12:02 台東

01_切符デカンショまつり号さんとお別れしてから荷物をまとめてホテルを出ました。
昨日と同じ自強371号に乗車して台東へと向かいます。今日は月曜日とあって当日に難なくTR-PASSから指定席券に引き換えられました。

02▲ 台東方面行きは第5月台より自強號、莒光號、区間車と続けて発車します。優等列車は1時間に1本、區間車は3本に2本が屏東止まり、残り1本が坊寮まで行きますが台東までの通しは1日1本(4:36発)と、坊寮始発の旧型客車列車1本しかありません。

03_1▲ 高雄~台東は屏東線(61.3キロ)と南迴線(98.2キロ)を合わせて159.5キロ、最速自強號でも所要時間は約2時間強、區間車なら約4時間もかかりますが台湾随一の絶景の車窓を楽しめます。

05.▲ 中央山脈南端を越えて太平洋に面した断崖絶壁を走る南迴線です。台湾を一周する環状鉄道として最も遅く、1980年に建設が始まりました。難工事の末、1991年に開通し、12月16日に初めての祝賀列車が走りましたが信号関係が未完成だったために正式営業は1992年10月5日となっています。
屏東線の屏東以南及び南迴線は未だ未電化で、現在電化工事と合わせて橋梁の強化及び新設、そしてトンネル掘削による路線短縮化工事が進められています。工事が遅れる事が日常的な台湾ですのでいつに完成なるのか不明ですが、第1期工事は全線電化による最高速度130km/h運転、第2期工事では全線複線化による最高速度160km/h運転を目標となっています。太魯閣號や普悠瑪號、また次世代の高速電車が快走するであろうと思われます。

03_0▲ 今回は前からあれば便利と思っていたタブレット(Ipad)を購入して持ってきました。国内、海外どこでも使えるSIMフリーのWiFi + Cellularモデルです。GPS機能がありますので現在位置がどこなのか、Google地図と連動してのナビゲーションができます。
GPSロガーでは現在走行速度の表示ができますので車窓を見ながらどこを走っているのか、そして速度も分かりますので2倍乗り鉄を楽しめました。

04_1▲ 12:05 若干遅れての台東到着でした。キャリアーケースを持って多くの観光客が降りられます。気温は35℃、今日も外は暑そうです。

06▲ 12:30 今日は車販ではなくご当地名物、台湾一の池上便當を買い求めました。駅前に座って美味しく完食です。

食後は昨夜予約をした民宿へと向かいます。1月は花園玟瑰民宿に宿泊しました。印象が非常に良かったのでここを予約したつもりで行きましたが、なぜかドアが施錠されていてベルを鳴らしても返事がありません。おかしいなと隣接した隣の民宿に入って聞いてみましたが、オーナーのおじさんはこちらに泊まれと言うだけで隣の事は何も言ってはくれません。バウチャーを見せると、「貴方、間違っているよ。これは隣じゃないよ、この先にある民宿だよ。」です。
齢を行くと思いこみが激しくなって、間違ってよく似た名前のホテルを予約していました。

既に予約をしていますので行かないと当日なら全額キャンセル料を支払わなければなりません。荷物を持って間違って予約した民宿に行こうとするとおじさんは、「この民宿は遠いので不便だよ。うちに泊まりなさい、宿泊料は半額以下の希望の料金で良いよ。そうしよう、そうしようと荷物を持って部屋に持って行くではありませんか。半ば強引です。
困りましたが、当日の予約キャンセルは迷惑にもなりますので、丁重にお断りをして遠い民宿に向かいました。しかし、花園玟瑰民宿が開いておれば何の疑問もなくそのまま宿泊していました。後からキャンセル料を要求されて ひと揉めあったかも・・。予約はしてこない方がよかった、平日の飛び込みなら台東の民宿は問題なさそうです。

07▲ 宿泊しました蘿斯瑪莉の部屋です。オーナーの対応も良く部屋も広かったのですが冷蔵庫がありません。この辺りはコンビニもなく駅でビールを買ってくるしか方法はないのですが、置いておく場所がありません。宿泊料は2,800元(9,800円)、シーズンとあってちょっと高すぎましたね。1月に泊まった花園玟瑰民宿は7,353円でした。

自転車を無料で貸し出していただけましたので、かつての台東站(台東旧站に向かいました。
08_3▲ 1926年3月、台東線全通時の台東付近地図です。台東~関山は、1919年12月に開業した台東開拓会社の路線(762㎜)を1922年4月に買収したものです。全通前は台東南線と呼ばれていました。
【台東開拓会社】
日本統治時代に台湾総督府は花蓮、台東一帯で大規模な移民政策を行いました。これにより、1911年から1924年の間、北海道や四国から日本人農民が入植して東台湾にはいくつかの移民村が建設されています。物資輸送のために鉄道が敷設されていました。
入植農民によって水田の開墾が進められ、持ち込まれた日本米栽培は台湾一のブランド「池上米」として育っています。

08_1▲ 駅に掲示されていた廃線も含めた路線図。現在、東海岸站~台東(新駅)と鹿野までの山側区間は廃線となっています。台東(旧駅)~東海岸站(貨物)は、台東線全通後の1933年4月に臨港線として延伸されました。

09▲ 15:45 Google座標; 22.752320, 121.146611
タブレットをナビゲーション機能にして誘導してもらいながら台東旧站へ着きました。もう少し近いかと思いましたが、結構ありました。
この駅舎の開業は1922年4月22日、廃止は2001年5月31日。

08▲ ちょっと乱暴な駅の配置図が掲示されていました。デルタ線と転車台があったのは分かります。

15▲ 戦時中の防空壕は残されていました。

1010_1▲ 機関庫です。頑丈にしっかりと建築されています。

11▲ 右側には広いヤードがあったろうと思われますが、今は公園になっています。

13 1218▲ ホームは岸式、島式の2面が残っています。

14▲ 転車台です。手動人力式だったようです。

16▲ 残念ながら駅舎は修理中でした。昨年来られた方のプログではまだ工事は始まっていませんでしたので今年から着手されたと思われます。最後の時刻表等がありましたが、全ての展示物は工事完了を待つしかないようです。
東海岸站(貨物駅、1.2キロ)への廃線跡は既に撤去されて舗装道路になっていました。この先の廃線跡案内については台湾人鉄ちゃんの詳しい探索記事がありますので、こちらをご覧ください。

私が所蔵しています台湾鉄道の資料には台東線の前身である台東開拓会社の事が少ししか掲載されていません。ネットで調べてもありません。1月に訪台した時に花蓮の鉄道文化館へ参りました。ここでは台東線の歴史についての多くの資料や展示物があって学べました。台東開拓会社については、ここに来れば詳細が分かるだろうと期待をして来ましたが・・、台東鉄道芸術村が新たに整備されたらまた来てみたいと思います。

台東鉄道芸術村の公式HPはこちらをご覧ください。
花蓮鐡道文化館の1月の訪問記事については、こちらをご覧ください。

17_1 17_217_3▲ DR2000系のDR2050型のみ展示されていました。どうせなら相棒の動力車、DR2000型も置いて欲しいですね。
台東線の改軌工事が完了した1982年6月26日に合わせて状態の良い付随車LTPB1900型を台車交換して新たにDR2050型として使用開始されました。ちなみに動力車のLDR2300型も改軌改造を受けてDR2000型となりました。

16:20 台風が向かって来ているとは思えない青い空です。旧站から新站までの6.4キロは現在線と合流するまでサイクリングロードとなっていましたので走ってみる事にしました。
08_2▲ 花蓮の鉄道文化村館に展示されていました当時の地図です。

2021▲ しばらくは線路沿いに設置された、走りやすい木製の回廊を行きます。

21_2▲ 16:42 木製の回廊は軌道上に替えます。

21_1▲ 16:45 所々に休めるようにベンチが設置された休憩所がありました。

26▲ 16:47 太平川は2度渡りますが、手前にはトーチカが設置されていました。戦時中は重要な路線だったようです。

31▲ 17:00 Google座標; 22.765438, 121.129102
台東から2.4キロを走り馬蘭站に到着です。
この駅舎の開業は1922年4月20日、廃止は2001年5月31日でした。

27▲ この駅には1913年2月に創立された台湾製糖(株)のヤードがありました。台東開拓鉄道は1919年開業していますので、この工場で製糖された砂糖を貨物列車で台東港へと運送していたのですね。
30
17:26 しばらく行くと再び太平川を渡る鉄橋へと出ました。吊り橋をまねたアーチはサイクリングロードに改装する際に設置されたのでしょうが、遊び心があって中々良いですね。
30_13117:35 Google座標; 22.779292, 121.114926
橋を渡ってすぐの所で線路上のサイクリングロードが終わっていました。台東旧站からここまでは約5.4キロ、ゆっくりと途中で休憩を取りながらの1時間半余りのサイクリングでした。途中多くのウォーキング、サイクリングの人たちとお会いしました。これだけ活用されているのを見ますと廃止後も立派に役に立っているのが分かります。

323317:58 民宿まではまだ約5キロもあります。風が強くなってきて、まともに受けると風圧で進めません。休み、休みで行かざるをえません。途中に果物屋さんがありましたので今夜のフルーツに購入しました。

34 ▲ 民宿に辿り着いたのは宵闇迫った19:20になっていました。今夜の夕食は、7Elevenで購入したビールを主食にレーメンと果物がアテです。今日は一人寂しい夜です。台風が近づいているのか、強風で檳榔の木々が激しく揺れる音が大きくなってきました。余計に心細く感じさせる夜でした。 Part8へ続く

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