写真展「煙の記憶」レポート   ❸

山陰本線のC51・C54

「ヘッドマーク」から、第2章の「里を走り、川を渡って~山陰本線京都口の蒸機」に移ります。本展は4つのパートに分けて展示しましたが、それぞれ訴求対象が違います。「ヘッドマーク」は根っからの蒸機ファン向け、そして「里を走り、川を渡って」は、ご来場では最も多い地元、なかでも高齢の方々へ向けてのテーマでした。京都人の蒸機の思い出と言えば、やはり山陰本線だと、私も体感的に感じていました。さらに深耕するために、“二人展”のメリットを活かしました。すなわち、人間国宝さんが撮られた昭和30年代のC51・C54、私の撮った昭和40年代のC57と、異なる年代の二人展だからこそ、時代の幅が広がったのでした。山陰本線テーマは的中し、「保津峡へ来たら、窓を開けたり閉めたりしましたわ~」の感想が何度も聞かれました。会場へ入って、真正面に見える奥のコーナーから山陰本線を始めることになった。目立つところに、何を持ってくるか、やはりこれしかなかった。亀山区で最後まで残った原型C51として有名なC51 225だった。亀山区の印象が強い同機だが、昭和26年から10年間も梅小路区に配置されて、山陰本線の旅客を牽いていた。正面形式入りのナンバープレートは、同機ならではの魅力だ。

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 2023年版 雪が降ったら、やっぱり叡電へ

24日(火)晩からの“最強寒波”、京都付近のJRトラブルばかりが耳目を集めましたが、私も写真展片付け後は、危うく難を逃れました。電車内に閉じ込められた方から見ると、不届き者以外の何物でもないのですが、私はワクワクして翌日を迎えました。目を覚ますと約15センチの積雪、もう行くところは叡電に決まっています。このタイトル「雪が降ったら‥」は、2017年の投稿にも同じように使っていました。やることに、全く進歩がありませんが、私の家から30分で終点に到達できるのですから、これが京都の良いところです。他人様の写真ばかりを紹介して得々とするなと言われそうですので、今回は「現役老人」を示すためも、久しぶりの雪中撮影をご紹介します。フリーキップ「ええ、きっぷ」を握りしめて、まず着いたのが八瀬比叡山口駅、ちょうど、ほぼ同時発着の「ノスタルジック」731号と、「ひえい」の並びが見られた。これは2番線から発車がある場合のみに見られる、数少ないシーン。

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 写真展「煙の記憶」レポート   ❷

蒸機の“顔”も展示

山科の人間国宝さんが撮られたヘッドマーク付きの蒸機には、前回の走行写真だけでなく、形式写真、蒸機の正面、ヘッドマークのみもあり、意識してヘッドマークをテーマに撮り続けられていたことが分かります。本展示では、蒸機の正面に絞って、A4サイズで展示し、全体の流れのなかでアクセントとなるようにしました。たしかに正面写真は、いちばん車両の特徴が表れた、まさに“顔”とも言うべき部位で、写材としても最適でした。以前の鉄道雑誌にも「電車の顔」と言ったタイトルで、正面ばかりをカタログ的に並べた企画があって、その個性を楽しんだものでした。

やはり注目を浴びたのはヘッドマークを付けたC51だった。年寄りにしか反応はないかと思ったが、意外にも若い人たちからも「これは貴重ですね」という声を多く聞いた。写真は、いずれも快速時代の「いずも」の牽引に当たった化粧煙突のC51で、左は若番号のC51 3[米]米子区、右はC51 122[米]浜田区(既出)、いずれも昭和29年10月

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 写真展「煙の記憶」レポート   ❶

本欄でも紹介済ですが、1月18日(水)~24日(火)の7日間、山科の人間国宝さんとご一緒に、写真展「煙の記憶」を行なっていました。クローバー会の皆さんはもちろん、コメントを頂戴している外部の皆さん、「デジ青を見て新幹線で飛んで来ました」と初対面の方が来られたりと、地元から遠方まで、老いも若きも、男も女も、多くの皆さんと対話ができる貴重な体験をさせていただきました。ありがとうございました。

写真展が終わって何らかの報告をと思ったのですが、手前味噌なことを書くのも気が引けますので、ここでは、展示写真のなかから、山科の人間国宝さんの許可もいただいて、とくにポイントとなる写真をピックアップしてご紹介したいと思います。

会場のエレベータが開いて、ギャラリーの全体がパッと眼に飛び込んだ時の“ワクワク感”を大事にした。そのため、真っ先に持って来たのが、テーマ1「栄光の証し、輝かせ」だった。すべて山科の人間国宝が撮られた、昭和30年代、蒸機に掲げられたヘッドマーク(愛称板)だった。山科の人間国宝は、山科の大築堤を行く、ヘッドマークを掲げた「つばめ」「はと」に感激し、蒸機に限らずヘッドマークを掲げた列車を撮るため全国を巡られた。

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 写真展「煙の記憶」、会場でお待ちしています

ことし初めての「デジ青」投稿となりました。投稿テーマだけは、新春から沸々と湧いて来るのですが、高齢化による実行力や集中力がさらに低下して、ことごとく企画倒れに終わってしまいました。結局、明後日18日(水)から行う、写真展のお知らせが、ことし初めての投稿となりました。

 佐竹保雄・福田静二鉄道写真展「煙の記憶」

  2023年1月18日(水)~24日(火)11:00~18:00(最終日16:00まで)

  祇園「ぎゃらりぃ西利」 京つけもの西利祇園店3階 (京阪祇園四条下車)

山科の人間国宝さんとの写真は、2021年、ひとまち交流館京都での写真展以来となります。こちらで勝手に二人展などと称して、厚かましいこと甚だしいのですか、年代差のある二人展だからこそ、年代幅が広がった、より広範囲な写真を展示ができると考えています。

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広電近況

広電西広島駅や宮島口駅のリニューワル工事が一段落し、現在は広島駅ビルの建替え工事が本格化し、広島駅前をはじめ広電沿線の風景がどんどん変化しています。久しく広電の撮影をしていないので、1月11日に宮島線を中心に沿線を歩いてみました。

宮島口駅に到着した3801

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今年も新聞ネタで失礼します

デジ青読者の皆様、本年も中国新聞の記事引用で手抜き投稿致しますのでよろしくお願い致します。中国新聞では「鉄路のあす」という、不定期ですが連載取材が続いています。三江線廃止以来、県北の人たちの関心が高いのかもしれません。昨年末には2022年の総括記事が載りました。

令和4年12月20日 中国新聞朝刊

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梅田貨物線

12月9日に「はるか」などが走る梅田貨物線の供用開始が2月13日になると発表されました。これに伴い、旧梅田貨物駅跡地を走っていた地上線は廃止されます。廃止まで2か月となった12月11日に現地を見てきました。

↑ 中津陸橋から見た風景です。うめきた2期工事は2027年に全体開業し、手前側にはマンション、奥側は大きな公園とオフィスビル、商業施設が立ち並びます。ここはうめきた全体を見られる有名撮影地ですが、来たのはは初めてです。工事の進捗状況を定点撮影しておけば良かったのですが遅かったですね。

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 “デジ青”から 湯口 徹 さんのご活動をしのぶ

湯口さんへの思いは、日時が経るにつれて、より強く敬慕の念が募って来ます。ホームカミングデ-での含蓄のあるスピーチ、見学会での舌鋒鋭い解説など、湯口さんのクローバー会での活動の日々を改めて思い浮かべています。

いっぽう当「デジタル元祖青信号」でも、たくさんの記事投稿をしていただきました。ちなみにトップ「投稿者」のヘッダーから「湯口徹」を検索していただくと、実に多くの興味深いタイトルが並び、それは病に倒れられた2017年12月まで、連綿と続いています。湯口さんの記事・写真は、趣味誌・単行本に多く発表されていますが、“デジ青”でしか味わえない、滋味あふれる「あの話、この話」に満ちています。ぜひ、湯口さんの思いを感じていただければと思います。湯口さんは、定例的に行われる、クローバー会写真展「鉄路輝く」にも、必ず出展をいただいた。この時は、湯口さんが同志社在学中に撮られた京津線の電車を展示、トークショーで興味深いエピソードを披露していただいた。

また「旧掲示板」でも多く発表され、そのなかの「おじん二人ヨーロッパ軽便」は、2005年10月から始まって、途中で「おじん2人+1人」に変わってからも、延々と続き、2008年9月まで、実に約90回(正確なカウント不能)にも渡って長期連載されました。また2006年3月連載の「サンパチ豪雪横断記」は、「レイルマガジン」誌の特集記事にもなるなど、多くの素材が、出版・マスコミ界に生かされています。

ここでは、表記のように、湯口さんがクローバー会での活動の様子を、ほかの投稿者からの記事で数点挙げてみました。最後にリンク先を表示していますので、ぜひ記事もご覧ください。

2009年3月8日「とりあえず総会写真速報」 この年の総会は犬山市のホテルで行い、宿泊後、明治村を見学、保存されていた蒸気動車ホジ6014を見学、湯口さんは、たまたま「蒸気動車」の本を出版中で、床下までもぐって詳細な解説に、参加者は興味津々で聞き入っていました。とりあえず、総会写真速報 | DRFC-OB デジタル青信号

2009年8月10日「〈速報〉湯口さん「島秀雄記念優秀著作賞」祝賀会が行われる」 この年、湯口さんは、その「日本の蒸気動車」で、鉄道友の会「島秀雄優秀著作賞」を受賞されます。会で祝福することになり、その会場の様子が紹介されています。表彰状の類いは、小学校の皆勤賞以来60年ぶりとかで、湯口さんは名誉をある賞をいたく喜ばれるとともに、会の連帯を強く感じられたのでした。【速報】湯口さん「島秀雄記念優秀著作賞」祝賀会行われる | DRFC-OB デジタル青信号

2013年11月21日「オロナイン軟膏3個 今年のホームカミングデー」 この年のホームカミングデーは新装なった良心館で行われ、湯口さんに講演をお願いしました。テーマは「軌陸車」、いかにも湯口さんらしい、ニッチなテーマですが、貴重な資料、写真を駆使して発表をいただきました。湯口さんには出版計画もあったと聞きますが、ついに実現せずに終わりました。なお記事では、そのあとの懇親会の様子も紹介されていますが、記事の最後の写真、右から沖中忠順さん、湯口徹さん、奥山直秀さん、お三人とも鬼籍に入られてしまうとは、思いも寄らないことでした。オロナイン軟膏3個! 今年のホームカミングデー  | DRFC-OB デジタル青信号

2014年5月15日「北近畿タンゴ鉄道 あかまつ・あおまつに乗りに行こうツアー開催」春の一泊旅行は、新緑の北近畿タンゴ鉄道へ。宿泊後、チャーターバスで加悦SL広場へ。ここも保存された内燃動車の宝庫、湯口さんにマイクを付けていただき、解説をしていただきました。解散後、私は湯口さんと福知山市のポッポランド館を見学、展示されていた北丹鉄道の細かい資料を一点ずつ丹念にカメラで複写されていた姿が印象に残っています。一流の趣味人でも、地道な調査・研究が不可欠だと思いました。 クローバー会2014年春「北近畿タンゴ鉄道(KTR) あかまつ・あおまつに乗りに行こう」ツアー開催 次期会長公募について | DRFC-OB デジタル青信号

ホームカミングデーのあとの懇親会でも、会活動の指針となるスピーチをしていただいた。「趣味活動を長く続けるには三つの要素が不可欠、少しのカネ、自由に使える時間、そして語り合える仲間」と、よく湯口さんから示唆していただいた。「こうして懇親会で酒が飲めるのも、三つが満たされているからこそ、みんな実に幸せ者」と結ばれた。

追悼 湯口徹先輩が亡くなりました

以前から静養中だった湯口徹先輩が、12月11日に逝去されました。
脳梗塞の再発によるとのことです。心よりご冥福をお祈りすると共に、鉄道趣味界、同志社大学鉄道同好会OBクローバー会へのご尽力に感謝申し上げます。
2015年12月15日 広島電鉄1911号車内にて車内にて

広島から新聞ネタ3題

令和4年も余すところ2週間となりました。コロナはじわじわと増え始めており、5度目のワクチン接種は済ませたものの、やはり出控える日々が続いています。さて、ここ数日、中国新聞紙面に鉄道ネタが続いて掲載されたので、ご紹介します。先に投稿しました「迷惑な瑞風」と「スカイレール廃止」の続報などです。

まずは「瑞風」から。

令和4年12月17日 中国新聞朝刊より

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大津線110周年ラッピング電車

京阪大津線は今年110年を迎え8月15日から記念のラッピング電車が走っています。京阪大津線の京津線前身の京津電気軌道は大正元年(1922年)8月15日三条大橋-札ノ辻間が開通し、(国鉄東海道線旧線との立体交差部分の工事が遅れ、当初はこの部分を徒歩連絡し、工事が完了したのは12月14日)石坂線前身の大津電車軌道は大正2年(1923年)3月1日に最初の大津(現在のびわ湖浜大津)-膳所間(現在の膳所本町)が開通しました。同じ年度にこの二線が開通し今年度が丁度110年となりました。これを記念して石坂線の600形(601,602)にラッピングとヘッドマークが、600形(603,604)にはヘッドマークが取り付けられています。また、京津線800形(801,802,815,816)にもヘッドマークが付けられています。↑ 石坂線600形には260形、京津線800形には京津1形の写真のヘッドマークがついています。

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迷惑な「瑞風」

2017年から運行が始まったJR西の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」はコロナ禍でも運行が続けられてきたように思います。私も何度か撮影に出向きましたが、乗るものではなく、見るもの、撮るものという高嶺の花です。昔風に言えば、電気式気動車ですが、電車風に言うと4M6Tです。寝台列車ですから寝台車にはエンジンを搭載せず静粛性を確保する代わりに、両先頭車(キイテ87)、ラウンジカー(キラ86)、食堂車(キシ86)の4両の床下に発電用のディーゼルエンジン(コマツ製SAD140HE-3)を2基ずつ搭載し、計8基のエンジンで発電機を駆動し、すべての電力をまかなっています。長時間停車時でも、空調などのために常時発電するため、エンジンを止めることはありません。撮影しやすい尾道駅での長時間停車を撮りに行った際に、その騒音の大きさに驚いたものです。案の定、夜間長時間停車の糸崎駅周辺住民からの苦情が新聞に載りました。

令和4年12月1日 中国新聞朝刊

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令和4年の鉄道記念日

鉄道開業150年という節目の日にも関わらず、全く盛り上がらない10月14日であったように思います。皆様はいかがお過ごしだったでしょうか。中国新聞の記事を引用させて頂き、古き良き時代を思い出すことに致します。

令和4年10月14日 中国新聞朝刊(下に続く)

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広電開業100周年記念 3100型塗り替え

広島電鉄宮島線は本年8月に開業100周年を迎えました。宮島口駅も新しくなり、今はJR広島駅に高架で乗り入れる工事が進んでいます。低床連接車の増備が進むなか、旧型の単車や連接車は肩身が狭くなってきています。そんな中で、3100型3101の塗装が旧塗装に塗り替えられたそうです。10月1日付けの新聞記事をご紹介します。

令和4年10月1日 中国新聞朝刊

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京阪電車の陣再び

現役生より連絡がありましたので、こちらでも報告いたします。

10月15日(土)午前1時15分より、関西エリアのNHKで「鉄オタ選手権 京阪電車の陣」が再放送されるとのことです。本放送は5年前です。

この回には、同志社大学鉄道同好会会員が参加しております。果たして結果はいかに。ご存知ない方はぜひご覧くださいませ。

NHKの公式情報です↓

https://www.nhk.jp/p/ts/2N54ZXNGRK/episode/te/5Z6NK4XPZM/

第9回DRFCクローバー会写真展いよいよ開催

8月17日より京都祇園西利ギャラリーにて第9回DRFCクローバー会写真展が開催されます。2019年1月の前回から3年半ぶりの開催となりました。今回はフリーテーマに加え「私のお宝写真」と称して、会員の皆さんが学生時代に撮られた写真を中心に懐かしの写真をご紹介するコーナー、また、6月にお亡くなりになられた沖中忠順さんをしのぶコーナーも設けています。

会期は8月17日(水)~23日(火)の11時~18時(最終日は16時まで)となっています。尚、8月20日(土)16時からは出品者が語るトークショーも予定しています。多くの皆様のご来場をお待ち申し上げます。

 07 41を探す!  ここにもクローバー会の協力が

令和3年度の重要文化財に九州鉄道記念館で展示されているキハ07 41(写真:左)が指定された。私も10年以上前に同館を訪れて再会している。現役の415系電車の横に展示され、車内にも立ち入ることができて、現役時代、豊後森で0741の発車を見送ったことを思い出していた。

お蔵入りのネタで恐縮ですが、ちょっとお付き合いを。このたびの重文指定のキハ07 41は、昭和12年製の機械式気動車で、戦後、豊後森機関区にあって宮原線(昭和59年、26.6km廃止)で使用され、昭和44年に廃車後、そのあとは九州鉄道記念館で開館当初から展示されています。車体や内装の多くに製造時の姿をとどめ、昭和初期の旅客車の現存例として重要であると評価されました。気動車としては初の指定で、九州に所在する鉄道車両としても初めです。キハ0741の重文指定を記念した鉄道雑誌では、キーとなる写真にクローバー会のネットワークが、またまた発揮されることに‥‥。

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